植物 植物
直前対策講座:システムの信頼性設計

AOBA's Information Processing Education



1997/08/17

注意1:このページは、回線を切断した後でゆっくりご覧になってください(テキストを印刷する場合は、その取り扱いに注意してください)。

注意2:背景が白地の画面を長時間見つめていると頭が痛くなってしまいますので、ここは背景をグレーにしています。


「平成2年 特種 午前 問5」

問5 システムの信頼性設計に関する記述を読んで、設問中の(   )に入れるべき適切な数値を、解答群の中から選べ。解答は重複して選んでもよい。

 装置Aは、平均450時間の連続動作が可能であり、故障が発生すると修理に平均50時間かかる。一方、装置Bは、平均570時間の連続動作が可能であり、故障が発生すると修理に平均30時間かかる。

 これらの装置を複数用いて、待機予備方式(図1)と装置予備方式(図2)のシステムを構築する場合の信頼性について検討したい。図1では、系の一方が不稼動状態になると他方に切り替えて稼動し、図2では、系内の一方の装置が不稼動状態になると他方に切り替えて稼動する。スイッチの信頼度は1とし、切替え時間は無視する。

 稼働率は、小数点以下3けた目を四捨五入して計算する。

図

設問(1) 各装置の稼働率を求めると、装置Aは( a )、装置Bは( b )となることから、図1における系1及び系2の稼働率は( c )となる。

設問(2) 一方、図2における系Xの稼働率は( d )、系Yの稼働率は( e )となる。

設問(3) したがって、図1全体の稼働率は( f )となり、図2全体の稼働率は( g )となる。

解答群

ア 0.83  イ 0.85  ウ 0.86  エ 0.90  オ 0.92
カ 0.95  キ 0.97  ク 0.98  ケ 0.99  コ 1.00


解説

 第5回の講座に引き続き、システムの信頼性に関する計算問題です。
 MTBFとMTTRから単体の稼働率を求める方法については第5回の講座で説明しました。ここでは、直列系システム、並列系システム、および、それらが組み合わされたシステムにおける稼働率の計算方法を学びます。

直列系システム
 図1の系1や系2のように、各装置が直列に接続されているシステム(第5回講座の問題も直列系システムでした)。
 直列系システムの稼働率は、系内のすべての装置が動作する確率と等しい。

並列系システム
 図2の系Xや系Yのように、各装置が並列に接続されているシステム。
 並列系システムの稼働率は、少なくとも系内のいずれかの装置が動作する確率(1−系内のすべての装置が動作しない確率)と等しい。

a,bについて

 この設問を間違えた方は、再度、第5回講座の解説をご覧になってください。

 装置Aの稼働率=450/(450+50)=0.9

 装置Bの稼働率=570/(570+30)=0.95

cについて

 直列系システムの稼働率は系内のすべての装置が動作する確率ですので、系内の各装置の稼働率をすべてかけることによって求めます。
 この設問の場合、装置Aが動作し、かつ、装置Bが動作する時のみ、系1(系2)が動作しますよね。

 系1(系2)の稼働率=装置Aの稼働率*装置Bの稼働率
           =0.9*0.95=0.855

dについて

 装置Aが動作する確率(装置Aの稼働率)は0.9です。したがって、装置Aが動作しない確率は0.1(1−0.9)です。
 ここから、系X内のどちらの装置Aともに動作しない確率は0.01(0.1*0.1)と分かります(系X内の一方の装置Aが動作せず、かつ、もう一方の装置Aが動作しない時のみ、系Xが動作しません)。

 並列系システムの稼働率は”1−系内のすべての装置が動作しない確率”ですので、系Xの稼働率は0.99(1−0.01)となります。
 ちょっとややこしいので、以下の式で整理しましょう。

 系Xの稼働率=少なくともどちらかの装置Aが動作する確率
       =1−どちらの装置Aともに動作しない確率
       =1−(1−装置Aが動作する確率)2
       =1−(1−0.9)2
       =0.99

注意:本問題は並列系内の各装置のうち、一つの装置が動作すれば系が動作する場合の稼働率の求め方です。もし系内の複数の装置が動作するときのみ系が動作する(たとえば三つの装置の内、二つの装置が動作すれば系が動作する)場合は、別解に示す方法によって稼働率を求めなければなりません。

dの別解

 系Xが動作するすべてのケースを挙げ、個々のケースが発生する確率をすべて加算します。

系Xが動作するケース
 ケース1:(上の)装置Aが動作し(下の)装置Aが動作する確率=0.92
 ケース2:(上の)装置Aが動作し(下の)装置Aが動作しない確率=0.9*0.1
 ケース3:(上の)装置Aが動作せず(下の)装置Aが動作する確率=0.1*0.9

 これをすべて加算します。

 系Xの稼働率=ケース1の確率+ケース2の確率+ケース3の確率
       =0.92+0.9*0.1+0.1*0.9
       =0.99

eについて

 系Yの稼働率=少なくともどちらかの装置Bが動作する確率
       =1−どちらの装置Bともに動作しない確率
       =1−(1−装置Bが動作する確率)2
       =1−(1−0.95)2
       =0.9975

fについて

 系1と系2をそれぞれ一つの装置として考えます。すると単純な並列系のシステムになりますよね。

 図1全体の稼働率=少なくともどちらかの系が動作する確率
         =1−どちらの系ともに動作しない確率
         =1−(1−系1が動作する確率)*(1−系2が動作する確率)
         =1−(1−0.855)2
         =0.9789....

gについて

 同じように、系Xと系Yをそれぞれ一つの装置として考えます。するとこれは、単純な直列系のシステムになります。

 図2全体の稼働率=系Xの稼働率*系Yの稼働率
         =0.99*0.9975
         =0.9875....

 直列系システムや並列系システム(またはそれを組み合わせたシステム)の稼働率を求める問題を解く場合、へたに公式なんて暗記しない方が良いかもしれません。絶対に覚えておかなければならないことは、稼働率は確率の一種である、ということだけです。


解答

a−エ  b−カ  c−ウ  d−ケ  e−コ  f−ク  g−ケ