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コラム:情報処理試験の中のインターネット

AOBA's Information Processing Education



1997/09/14

 皆さんはインターネットをよく利用されていることでしょう。でもインターネットって何だか分かります?。正直言って私は今でもよく分かりません(キッパリ)。
 もちろん、「インターネットはアメリカのARPANETを発祥とするネットワークだ」とか、「http(Hyper Text Transfer Protocol)を用いてホームページのブラウジングが出来たりする」ことは分かりますが、それが他の通信ネットワークとの根本的な違いではありませんよね。
 ”インターネット”は世の中に数ある通信ネットワークの中の、一つの(とても巨大な)ネットワークに付けられた固有名詞なのですが、納得いかないのは、なぜネットワークなんかに固有名詞がつくか、ということです。
 まあ、そんなことはどうでもいいか。

 ところで、インターネット関連の雑誌などを見ると、インターネット(というかネットワーク)に関連する様々な用語が出てきます。たとえば、TCP/IPとかFTPとかです。初心者向けの雑誌の場合は、その用語の解説も載っています。
植物  もちろんその解説は、一般の読者向きに書かれおり、それはそれですべて正しい内容です。たけど、情報処理試験を受験しようとする皆さんにとっては、あまり有効な解説ではないかもしれません。それどころか、かなり多くの人がこれらの用語を誤解しているのではないかと思うこともあるんですよ。
 ここではそれらの用語を、情報処理試験を受験しようとする人用に解説しましょう。

TCP/IP
 誤解:「TCP/IPは通信ネットワークの標準の通信ルールである」

 通信ネットワークの国際標準には、ISOが定めたOSI参照モデルがあり、TCP/IPはこれに準拠していません。つまりTCP/IPは必ずしも標準ではないのです。ISOは日本のJISの親玉みたいなもので、ここで規定されたものが本当の標準なのですが、インターネットの爆発的な普及により、こちらの方が有名になってしまいました(いわゆる”事実上の標準”というやつですね。ただし、UNIXマシンでLANを構築する場合は、昔からTCP/IPが使われていました)。
 なお、パソコン通信ではこれらどちらにも準拠していません(話が発散してしまいますので、ここでは触れませんが)。

FTP
 誤解:「FTPはファイルを転送するためのソフトウェアの総称である」

 これはかなり多くの方が誤解していると思います。フリーウェアやシェアウェアで数多くのFTPソフトが出回っている上に、Windowsの標準にもFTPが付いてきますからね(インターネットに接続後、[ファイル名を指定して実行]からftpと打てば動きます。ただし操作コマンドが分からない方は動かさないように)。
植物  FTPはソフトウェアではなく、TCP/IPの中のファイル転送プロトコルです。
 と言っても何のことやらさっぱり分からないと思いますので、ちょっとだけ補足します。

 前に、TCP/IPは通信のルールだと言いましたが、正確に言えばTCP/IPは、TCP/IPが定める様々なプロトコル(通信規約)群の総称なのです。
 下の表を見てください。この表はTCP/IPのプロトコル群の中から、インターネットに直接関連する(なじみの深い)部分を抜粋したものです(本当は5階層ある)。

プロトコルの階層プロトコル名サービス
アプリケーションレベルFTPファイル転送
NNTPネットニュース
SMTP電子メール(送信)
POP電子メール(受信)
TELNET遠隔ログイン
ホストレベルTCP
ネットワークレベルIP
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 ホストレベルにTCP(Transmission Control Protocol)、ネットワークレベルにIP(Internet control message Protocol)がありますね。その他にもプロトコルはたくさんあるのですが、この二つに代表させてTCP/IPと呼んでおり、その中の一つがFTP(File Transfer Protocol)なのです。要するにFTPはファイル転送を行うためのルールですね。
 ちなみに、インターネットはIPが語源らしいですよ。

その他のプロトコル

 前記の表に示すように、NNTP(Network News Transfer Protocol),SMTP(Simple Mail Transfer Protocol),POP(Post Office Protocol)もプロトコルであって、サーバのアドレスなどではありません(***サーバといえばそれらのサーバを意味します)。
 またTELNETは離れたコンピュータにログイン(して操作)するためのプロトコルであって、これはソフトウェアではありません(余談ですが、TELNETもWindowsの標準で付いてきます)。
 ただし現在では、FTPやTELNETを、”これらのプロトコルに準拠して作成されたアプリケーション”という意味で使っても十分通用します。もし、「FTPはファイル転送を行うアプリケーションである。マルかバツか?」などという試験問題が出題されたならば(こんな形式では出題されませんが)、マルと考えておいた方が無難でしょう。

JPEGとMPEG
 誤解:「JPEGは写真のファイルで、MPEGはビデオのファイルだ」

 インターネットとは直接関係ありませんが、JPEGとMPEGにも触れておきます。

 ファイルの拡張子が”.jpg”のファイルの総称を「ジェーペグファイル」と呼んでおり、その内容は写真がほとんどでしょう(”.gif”ならばイラストですね)。そこで、写真を内容とするファイルのことを”JPEG”だと思っていませんか?。
 これは完全に間違いです。正しくはJPEG(Joint Photographic Experts Group)は静止画像の圧縮方式のことを言います。画像の情報はテキストと比較して格段に情報量が多いため、圧縮せずにファイルにすると、記憶媒体(ディスク等)の効率がよくありません。また、それを転送すると多くの時間がかかってしまいますよね。
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 そこで、画像の”圧縮”を行うのですが、その一つの方式がJPEGなのです(ちなみに、Windows標準の画像形式であるBMP形式はまったく圧縮しませんので、ファイルのサイズがかなり大きくなってしまいます)。JPEGはISOとITU−Tで規格化されています。
 それと同じように、MPEG(Moving Picture coding Experts Group)は動画の圧縮方式です。これもISOで規格化されています。

 と、こんなところでしょうか。
 それから、大事な点を一つ。

 情報処理試験を受験しようとする方にとっては、TCP/IPではなく、OSI参照モデルの方が重要です。せめて各階層の名称と順番および、各階層のキーワードだけでも暗記してください(それが具体的に何なのか分からなくても大丈夫)。
 最後にこれを、以下の表に示して終わりにします。ではまた。

 OSI参照モデル

階層キーワード
応用層(アプリケーション層,第7層)応用プログラム,各種業務に必要な機能
プレゼンテーション層(第6層)符号化,圧縮,データ表現形式の制御
セッション層(第5層)同期制御
トランスポート層(第4層)異常回復
ネットワーク層(第3層)経路選択,パケット
データリンク層(第2層)データ伝送制御手順,フレーム,HDLC
物理層(第1層)信号レベル,電気的・物理的,ビット