草編の漢字を説明します。「宿題メール」2003年7月からコラムとして掲載されたものを整理しています。
クサカンムリのクサを正式に書くと,「艸」と書きます。2本の草から出来た象形文字です。草編は,植物を表し,とくに木や茸と区別して,草花に関する字であることを示します。
ヨモギとモグサは,同じ植物です。お灸に使うために,ヨモギを乾燥させたものが,モグサです。ヨモギをモグサと呼ぶこともあります。ヨモギは,「蓬」とも書きます。
「艾」の下の部分は,「乂(ガイ)」は,ハサミでかりとる,と意味を持ちます。「艾」は,刈り取る草という意味です。「艾」を使って,「草を艾(か)り取る」とも書くこともできます。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/yomogi.html
桃太郎のおじいさんがいった,「シバカリ」のシバは,柴で,薪(たきぎ)にする小木一般をさしています。芝の方は,イネ科の多年草で,庭などに植えて芝生とします。この植物を「芝」というのは日本独自で,中国では,「芝」は,茸を指します。霊芝など茸の名まで登場しています。
「芝」の下の部分「之」は,象形文字で,足の先が線から出て進むいく様子を描いています。行く,進むなどの意味を持ちます。「芝」の場合は,すくすく育つという意味でしょう。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/siba.html
補足
「桃太郎」のように古い伝説は,神話的な意味が含まれている場合があります。「シバカリ」は,単純に薪を取りに行ったという意味ではない可能性があります。
カラシナの実から芥子(からし)を作ります。
「芥」の下の部分の「介(かい)」は,分けるとか挟むという意味があります。カラシナの実は,小さいので,小さく分けられたものという意味です。
「芥」は,「あくた」とも読みます。この場合は,小さいゴミを指します。
「芥子」は,「けし」とも読みます。日本では特別に,阿片をとる実を,芥子(ケシ)と名付けました。小さい物という意味からだと思います。カラシとケシは,との関係はよく分かりません。密教の護摩を焚く物を研究するとなにか分かるかもしれません。
写真 http://members4.cool.ne.jp/~sinsei/bokusi/karasi.htm
芍薬(しゃくやく)で,植物の名前になります。芍薬(しゃくやく)は,ボタンに似た花が咲き,根が薬にとなるので,薬という文字が入りました。「芍(シャク)」だけで,使われることはないようです。
「芍」の下の部分の「勺(しゃく)」は,象形文字で,スプーンで液体の一部を汲む様子を表しています。汲むという意味の他に,液体を測る単位となります。
「芍」の「勺」は,学研漢和大辞典によると,はっきり目立つことを表すとあります。しかし,『字統』によると,目立つというう意味の記述はありません。
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ススキは,「薄」とも書きます。「芒」で,ススキを指すのは日本独自です。
「芒」の下の部分の「亡(ボウ)」は,囲いで隠すようすを表しています。見えにくい,忘れるといった意味を持ちます。
「芒」は,「のぎ」とも読みます。「のぎ」というと,穂先の細い毛を指します。また「ほさき」とも読みます。そうすると,刀剣などのきっさきを指します。「ひかり」とも読みます。そうすると,光線の先端を指します。「くらい」とも
読みます。そのときは,薄暗いようすを表します。
「芒(すすき)」は,穂先が細い植物というところから,この漢字が使われたと思われます。
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前回の答えは,「芸(うん)」でした。通常は,「芸香草」として使います。「藝術」の「藝」の新字として,「芸」が使われますが,「藝」と「芸」は,本来,別の字です。「芸(うん)」を芸術の新字の「芸」と区別するために,クサヘンを「++」とするのが正式のようです。「芸(うん)」は,書物の虫食いを防ぐために使う香草です。
「芸」の下の部分は,「云」は,口の中で息がとぐろをまいて,口ごもることを表しています。雲,魂などにそれが現れています。虫食いを防ぐ匂いが,出るためこの字ができたと思われます。この「芸」には,さんなん,多いことも意味します。書物も守るということから,図書館等にこの字がよく使われています。
写真 http://www.arkfarm.co.jp/herb/herb_index/herb_rue.html
「はな」を表す漢字は,「花」と「華」が有名です。その他に,「英」,「栄」も「はな」を指します。
「花」は,花ならなんでも
「華」は,ユリ,朝顔,曼珠沙華のような花。"華やか"の意味があるならこの字
「英」は,タンポポ(蒲公英)のような花,咲いても実がならない花という説もあり
「栄」は,桜のように木を被うように咲く花
私が調べたところ,こんな風に使い分けかなと思います。(かなりいい加減です)
「花」の下の部分の「化」は,人が立ったり座ったしている様子を表しています。変化するという意味です。「花」は,まさに変化しているところですね。
「華」は,もともと,「花」の元になった字です。「華」の下の部分は,ハナの象形文字です。読みが"カ"で,それを元に「花」(カ)という字を作りました。
夏の花と言えば,アサガオ
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/
「芹」の下の部分の「斤」は,斧(おの)の象形文字です。「芹(せり)」は,刃物で刈りとられるものという意味になります。
芹(せり)は,春の七草の一つです。この刃物は,宗教的な儀式と関係している
かも知れませんね。
パセリ(parsley)も芹(せり)の一種です。この発音の類似に歴史があるかもしれません。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/seri.html
「芻(まぐさ)」でした。
「まぐさ」は,馬に食べさせる草とい
う意味で,特定の植物を指すわけではありません。「まぐさ」は,馬草,秣とも
書きます。
「芻」は,の下の部分は,草を表す「艸」に「勹」が2つ入っています。「勹」
は,包むとか縛るという意味があります。つまり包んで縛った草という意味の漢
字です。この漢字に,さらに,草冠をつけて,「蒭」と書くときもあります。こ
の漢字は,ものごとを繰り返し考えること,「反芻(はんすう)」として使われま
す。
草を食べている野生馬
写真 http://www02.so-net.ne.jp/~springdh/image/etc97/misaki.html
芭蕉(ばしょう)として,使います。芭蕉と
書くと,松尾芭蕉を連想しますが,芭蕉は南国風の植物ですので,ワビサビの
松尾芭蕉とは似合わないというところが面白いです。
「芭」の下の部分の「巴」は,人が腹這いになって横たわっているところを書
いた象形文字です。蛇も象徴します。爬虫類の「爬」としても使われています。
「芭」は,葉っぱの形が腹ばいのイメージを連想させたのだと思われます。
「蕉」の下の部分の「焦」は,鳥を火であぶって焦(こ)がすということで,黒
色を象徴します。「芭蕉」の幹が黒いところからこの字が使われたと思われます。
松尾芭蕉に相応しくない木
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/bashou.html
「苺」の下の部分の「母」は,乳首+「女」で,お母さんを表しています。「苺」の場合は,植物がどんどん増えてはびこる様子を表しています。バラ科の植物全体を指しています。日本では,食用いちごを指します。
食用いちごに,「苺」の字を当てた日本人の頭の中には,乳首のイメージがあったのではないでしょうか。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/ichigo.html
カヤは,萱とも書きます。茅は,細い穂先の出るいね科の植物の総称としても使われます。
「茅」の下の部分の「矛(ほこ)」は,象形文字で,棒の先につけた諸刃の刀を」表しています。「茅」は,イネのように穂先がある植物を表しています。
写真(音あり) http://village.infoweb.ne.jp/~fwix3205/kayabuki.htm
「茉(マツ)」は,「茉莉(まつり)」として使います。ジャスミンの一種,もくせい科の常緑つる性小低木です。 女性の名前によく使われる漢字です。アラジンの恋人の名前は,ジャスミン姫でした。
「茉(マツ)」の下の部分の「末」は,木のこずえのはしを意味しています。「莉」の下の部分の「利」は,刈りとるいう意味があります。木の先で咲く花を刈りとるというところから,「茉莉」となったのかもしれません。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/maturika.html
英語だと,クローバーです。馬肥(うまごやし)とも言われることもあります。白詰草(しろつめくさ)と呼ば
れることもあります。(厳密には区別されているかも)
「苜」の下の部分の「目」は,音を表しています。「目」は,象形文字です。
「蓿」の下の部分の「宿」は,音を表しています。「宿」は,狭いところで,人が縮んで寝るようすを表しています。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/Clover.html
ミミナグサは,耳菜草とも書きます。
「苓」の下の部分の「令」は,おおいの下で人がひざまずいているところを表しています。清らかで美しいという意味を持ちます。「苓」は,清く美しい草という意味になります。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/miminagusa.html
茴香(ういきょう)」として使います。フェンネルの名の方が普及しています。
「茴」の下の部分の「回」は,象形文字で,回転する様子を表しています。「茴香(ういきょう)」の実が楕円であることからこの字が出来たのかも知れません。花束にすると丸いという感じがするので,そこから来たのかたもしれません。
「香」の方は,黍(きび)+甘(うまい)です。キビを似たときにただよるいい香りを表す字です。「茴香(ういきょう)」が香草であることを表しています。
写真 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/uikyou.html
あずきは,「小豆」とも書きます。
「荅」の下の部分の「合」は,口にフタでとじて,ぴたりとあわせることを表しています。荅は,さやに入った豆を意味しています。
写真 http://www.afftis.or.jp/SakumotsuHana/hana9.html
茯苓(ふくりょう,ぶくりょう)として使われます。松に生えるキノコで,薬用です。
「茯」の下の部分の「伏」は,人に犬がついている様子を表します。西郷隆盛が犬を従え立っている銅像の雰囲気です。茯苓(ふくりょう,ぶくりょう)は,松の根につくキノコという意味でしょう。令は,ひざまずくという意味を持ちます。
写真 http://www.shoyaku.ac.jp/j-home/shouyakugaku/chap8/8-12.htm
お茶のことです。とくに,おそくつみ取ったお茶を指します。新芽をかったあとに生える,小さな芽を指します。番茶。
「茗」の下の部分の「名」は,夕(三日月)+口で,薄暗い中で,口で呼ぶことから,名前の意味,また,薄暗いという意味があります。「茗」は,小さくてよく見えない芽という意味だと思われます。