UNIXからLinuxへ
UNIXの歴史

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UNIXと c 言語の誕生

 MULTICS(マルチックス)プロジェクトに参加していた,ケン・トンプソンは,その研究が済むと,そのOS上で遊んでいた「宇宙旅行」というゲームを移植するために,使用していたいPDP-7というコンピュータにMULTICSを単純化したOSを作成した。それが,UNIX の最初である。彼は,アメリカ人であるが,冷戦時代に,ソ連の当時の最新式の戦闘機ミグに登場経験があるというくらいのかなりの飛行機マニアである。ケン・トンプソンは,そのOSを持って,ATTからカフフォニア州立大学バークレイ校に行くことになる。

 彼が勤務していたATTのベル研究所の仲間内でこのOSが話題になる。

 アセンブラで記述されていたUNIXは,同僚のデニス・リッチーの c 言語によって1974年に書き直しされる。以後,UNIXとCの蜜月時代が始まる。

 ATT は,通信の独占企業として,コンピュータ分野の仕事を禁止されていた。そのため,UNIXを売ることができず,無償提供していた。UNIX の無償提供は,その後のオープンソースの源流ともいえる。

BSD版の普及とTCP/IP

 ATT のベル研からカルフォニア州立大学バークレ分校にきたケン・トンプソンは,UNIXを授業で使う傍ら,プログラム教育のため,PASCAL を UNIX 上に移植しようとしていた。彼がバークレイからATTに戻ったあと,その PASCAL を完成させたのは,彼の助手をしていた,ビル・ジョイとチャック・ヘイリである。

 このバークレイ校で移植された教育用のPASCALは,UCSD-Pascal と呼ばれ,仮想マシーンを想定して,コンパイラとインタプリタの両方の利点を利用するシステムであり,後の Java に影響を与えている。

 ビル・ジョイは,1977年に Pascal コンパイルを仕上げ,その後エディタを作成,UNIXのバグレポートを友人に送ったのが契機となり,UNIXのバージョンアップがネット上で開始されるようになる。

 バークレイ分校のビル・ジョイが中心になってバージョンアップを続けた UNIX を BSD UNIXと呼ばれるようになる。

 BSD UNIX は,ネットワーク上でバージョンアップがされるなど,ネットワークを意識したUNIXである。TCP/IP プロトコル群がこの BSD UNIX の上で形成される。

混乱期

 UNIX の混乱は,ATTの分割・民営化が引き金となって始まる。分割の条件として,ATT は,コンピュータの分野にも進出できることになった。そのため,ATT は,UNIX を商品化することになった。

 ATT にとって,当時評判の高い,BSD UNIX がライバルであった。そのころ,ビル・ジョイ等は,BSD UNIX を動作させるためのコンピュータを販売する会社して,サン・マイクロシステムズ社を設立し,大きな勢力となっていた。IBM をはじめ,既存のコンピュータメーカは,勢いのあるサン・マイクロと競争するために,ATT の UNIX に肩入れをしていくことになる。

 日本では,ソフトウェア開発の効率化を計るプロジェクトして,通産省の下でシグマ計画が始まる。シグマ計画は,初期は,BSD 版を利用していたが,富士通等の既存のコンピュータメーカ等の力により,ATT版に変更される。これが,シグマ計画のつまづきの元という人もいる。

 ATT の UNIX 販売は失敗を重ね,UNIXの商標・著作権は他に転売される。そのため,UNIX は,権利関係が複雑で,商品として,大変扱いにくものとなった。当時,UNIXは大学等の研究で使われているものの,商品としては衰退するかのようにみえた。

GNU/Linux の時代

 「プログラムソースは,無償で公開されるべき」であるという強い主張を持つ,GNUプロジェクトが,ストールマンによって開始される。そのプロジェクトで,GNU C 等のコンパイラをはじめ,UNIX上の基本的なソフトウェア群が著作権フリーとして公開される。しかし,肝心のOSの中心部分は,UNIXを利用していた。GNUプロジェクトは,無償という強い枠があるため,商売の世界ではなかなか普及しなかった。

 UNIX を手本として,もっと小さく,OSの学習用に Minix が作成される。それで勉強した,リーナス・トーバルス が,Linux を作成する。これは,UNIX互換として強力なシステムとなる。プログラムソースは,GNUの精神を受け継ぎ,ソースを無償公開する義務があるものの,インターネットを通じて多くの賛同者を得て,一大プロジェクトに発展し,当初,Linuxは,IBM互換パソコンで動作していたが,今では,多くのCPU向けに移植されている。

 パソコンのOSで独占的な企業であるマイクロソフト社に対抗するものとして,Linuxは注目を集め,既存のコンピュータメーカ,ソフトメーカも積極的にLinuxを利用するようになる。

 現在の Linux と呼ばれているものは,OS としては,この Linux を利用して,その上で動作する開発ツール系は GNU の成果を利用している。どのようにセットしてパッケージするかによって,各,配布会社(ディトリビュータ)が競争をしている。


Linux対マイクロソフト社

 パソコンのOSでほぼ独占的企業であるマイクロソフト社にしては,無償提供を基本とするOSのLinuxは驚異である。

 マイクロソフト社がオフィスシリーズLinux版を販売開始したら,おもしろい展開になるであろう。

Linux対Java

 元は両方とも,UNIX陣営である。それゆえ,Javaを出しているサン・マイクロシステム社にとっては,Linuxの普及は自社に驚異的なダメージを与えかねない。

 Java と Linux は,反マイクロソフトの陣営でもある。それで協力関係ができそうであるが,オープソースの Linux と,Javaのライセンス料で儲けたいサン・マイクロシステムズ社とは,簡単に協力できないようである。


spage@yscon.co.jp

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